日医連ニュース
日本医師連盟ニュース
2011/6/25(Sat.) 第67号 1・234/4 INDEX
平成23年度 日医連執行委員会開催
委員長に原中勝征氏が再選


日本医師連盟委員長に再選され挨拶する原中勝征委員長

 平成23年度最初の日本医師連盟執行委員会が、5月17日、日本医師会館で開催された。4月1日に施行された新しい日本医師連盟規約に基づく委員長の選出があり、原中勝征日本医師会会長が再選された。その後、新委員長を議長として役員人事(副委員長、常任執行委員等)、平成23年度交付金、東日本大震災に伴う被災県における平成23年度負担金の減免措置などについて審議が行われ、全会一致で承認した。

日医連委員長に原中日医会長を選出

議題について真剣に検討する執行委員ら
 当日は、平成二十三年四月一日に施行された新しい日医連規約に基づき、日医連委員長選出が行われた。
 まず、委員長選出に先立ち、仮議長の選出要領(議長候補は、都道府県医師連盟委員長のなかより、委員長の在任期間が最も長い者とする《抜粋》)に基づいて、石川育成岩手県医師連盟委員長を仮議長に選出した。
 石川議長のもと、委員長選出規程に基づき、推薦候補者であった原中勝征日医会長の日医連委員長選出を全会一致で承認した。

委員長挨拶「医政活動を全力で推進する」

 原中委員長は、引き続き全力で医政活動に取り組みたいと述べ、次のように挨拶した。
 「日医連は、日医のさまざまな意思決定を政治の面から実現させていく組織であり、政治のなかで我々の意見をしっかり述べていくことが求められる。それと同時に、日本医師会の主張を世の中に知らしめていく責任も併せ持っている。平成二十四年は診療報酬と介護報酬の同時改定の年に当たるが、介護報酬に関しては介護保険法によって三年ごとの見直しが決められているものの、診療報酬については特段の決まりはない。そうしたなかで、会員の思いを政府に届けて、それを実現させていくことが我々の義務だと感じている。
 また、わが国においては、合計特殊出生率が大きく落ち込んでいる。社会保障の維持という観点からも、国民や政府等に対し適切な提言を行う時期に来ている。諸外国を見渡すと、わが国の民法で定めるところの非嫡出子の出生が出生数全体の五〇%を超す国がいくつもある。子供はあまねく国の宝として、国家が責任をもってその生命を守っていくような政策を検討する必要があると考えている。
 これまでの経緯を顧みると、時の政府の思惑等によって、政治が我々の理想を実現していくための障害となっていたケースも多々見受けられるが、それを是正していくために、医政活動に邁進していくことが必要だと感じている。我々の意見が適正な医療費を構築し、それが国民の利益となるように今後も鋭意主張し続けていくので、ご指導とご支援をよろしくお願いしたい」
 原中委員長は、さらに東日本大震災における対応にも言及し、「今回の大震災に際しては、JMAT(日本医師会災害医療チーム)が九百六十回以上出動して被災者の救命と医療措置に当たった。本件に関しては、政府から正式に謝意が伝えられているが、政府の災害対策本部や復興委員会といった組織には、未だ日本医師会の委員は入っていない。地域の再建に向けて全力で取り組むという時に、そこに医療関係者が入らなくていいのかと疑問を抱いており、関係方面に抗議をしている。
 東日本大震災の被害は甚大ではあるが、福島の原発事故の問題が終結すれば、日本人の民族性からして震災前以上の国に復興するのは間違いない。しかし、肝心の原発災害事故処理がうまく進んでおらず、放射性物質によって国土が汚染される可能性も出てきている。国民の不安を増長させることへの懸念からか、今なお非常事態宣言は発令されていないが、一刻も早く適切に対応し、事態の収拾に取り組むことが政府に課せられた責務である」と、地域の再建に向けて今後も全力で取り組むことを力説した。

日医連役員人事を承認
前期役員の留任決定

 続いて、日本医師連盟規約第十七条に基づいて原中委員長が議長席に着き、当日の議題について審議を行った。
 役員人事について原中委員長が、「日医の公益法人移行にはまだ時間がかかることから、今回の役員人事では、新公益法人制度におけるいわゆる役員三分の一条項が適用されない。
 それに加えて、次期役員の任期が来年三月末までの約一年間であることを勘案し、役員人事(副委員長、常任執行委員、会計責任者、会計責任者職務代行者、および会計監督者)については全員に留任をお願いしたい」と説明した。
 これに対し、執行委員からは次のような提案があった。
 「日医連の力を高めるには集票力を上げることが重要である。票が伸びなければ日医連の価値が低く見られる。そのためにも、常任執行委員は各地域のブロックから選び、日医の常任理事と同程度に遇し、集票活動に専念してもらうようにしてはどうか(宮崎)」
 それに対して、横倉義武副委員長は、「集票力を上げるには、会員の意識をいかに喚起するかが大事である。その方策のひとつとして各都道府県医師連盟から二名の若手会員を選出してもらい、医政活動研究会を開催している。六月には第二回目の会を開催する。研究会に参加した会員が都道府県医師連盟で同様の会を開催して会員の意識の高揚をはかり、さらに郡市区医師連盟にも活動が広がっていけば政治への参加意識が徐々に上がってくるものと期待される。
 役員に関しては、原中委員長が説明したように日医の公益法人移行後は、必然的に三分の一以上の役員は日医連の役員を兼任できなくなる。そうなれば、各ブロックから常任執行委員に入っていただく形をとることも可能となり、それを基盤に日医連の活性化につなげていけるのではないかと考えている」と説明した後、慎重に審議を行い、全会一致で原案どおり承認した。
 なお、新しい日医連の規約により、今回の委員長を含めた役員の任期は、平成二十四年三月末までとなる。

被災県における負担金減免措置を承認

 次に、平成二十三年度日医連交付金について、横倉副委員長が、「日医連の財政状況等を勘案し、二十三年度の各都道府県医師連盟に対する交付金は、昨年度同様四〇%で実施したい」と提案し、全会一致で承認した。
 また、東日本大震災に伴う被災県における平成二十三年度負担金の減免措置について、「東日本大震災の被害の深刻さと重大さに鑑み、被災県については平成二十三年度の負担金の減免措置を講じたいと考えている。具体的には、日医の減免措置要領に準じて負担金の一定比率、すなわち、日医連会員に対する被災者比率で算出し減免したい」と提案を行った。
 執行委員からは、次のような意見が寄せられた。
 「今般の大震災に際しては、全国の会員から多くの支援をいただいた。JMATの出動も九百六十回以上と聞いており、会員の先生方には、この場を借りて御礼と感謝を申し上げたい。地震発生から二カ月が経過し、災害医療から保険医療に移行していく非常に難しい時期にさしかかっている。今回は、被災県の負担金を減免するという非常にありがたい提案をしていただいたが、該当する県を具体的に示してほしい(宮城)」
 今村聡常任執行委員が、「青森、岩手、宮城、福島、茨城の五県のなかで被災を受けた方が減免の対象になる」と説明し、満場一致で原案どおり承認された。
 審議終了後、原中委員長が謝辞を述べ、日医連執行委員会を終了した。

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