日医連ニュース
日本医師連盟ニュース
2004/12/25(Sat.) 第31号 1・23/3 INDEX
混合診療解禁反対 320名の衆・参国会議員が紹介署名
衆・参両院議長に請願として提出(「国民医療推進協議会」)
―衆・参両院本会議において全会一致で採択―
 さる十一月二十六日(金)、「国民医療推進協議会」がこの一ヶ月間に集めた混合診療解禁に反対する全国民六〇〇万署名を、衆・参国会議員三百二十名の方に紹介議員となって頂き、河野洋平衆議院議長と扇千景参議院議長に誓願として提出した。本請願は、十二月三日(金)の衆・参両院本会議において全会一致で採択された。
混合診療解禁反対 320名の衆・参国会議員が紹介署名

混合診療解禁反対 320名の衆・参国会議員が紹介署名

 さる十月二十一日(木)に「国民医療推進協議会(会長・植松治雄日本医師会会長、三十六団体により設置・発足)」総会が開催された。同協議会は、政府が混合診療の解禁を強く打ち出し、本年度中の解禁を目論んでいることから、これに断固反対するために組織化されたものであり、誰でも、いつでも、どこでも安心して平等に医療を受けられる国民皆保険制度を守るために結成されたものである。
 そして、運動の基本的活動としては、広く国民に呼びかけて、混合診療解禁反対の署名運動を幅広く行うことと、都道府県ごとに解禁反対の地域集会を開催することなどが決定した。

不退転の決意で混合診療解禁反対を推進

 この総会時に、植松会長は「混合診療の問題、株式会社の病院経営参入、あるいは財務省の公的保険縮小の思惑などを考えていくと、国民皆保険制度は形骸化の危機にさらされており、これを放置するということは、後世に対して責任を放棄したことになる。したがって、医療関係者と医療を受ける側とが一緒になって、急速に進む改革路線のなかで早い時期に国民の声を集約し、あるいは行動を起こすことで、日本の社会保障の中核たる医療を守っていきたいとの考えから、本協議会の設立を企画した」と挨拶し、医療関係団体やそれ以外の諸団体が総力を挙げて、混合診療解禁反対の国民的運動に盛り上げていこうとするものである。

混合診療解禁反対 320名の衆・参国会議員が紹介署名

衆・参両院本会議で採択されるも予断許さず

 日本医師連盟としても、この動きと歩調を合わせ、自由民主党をはじめとした各政党あるいは国会議員への陳情活動を展開してきたところであるが、この一カ月の間に集められた混合診療解禁反対の署名は、実に全国で六百万名となった。この署名を、直接国政の場へ要望として提出するためには、憲法で定められた「請願制度」に基づき行う必要があり、そしてそのためには、国会議員の「紹介」により請願書を提出する必要があることから、いかに多くの紹介議員を集めうるかが焦点であった。
 そこで、都道府県医師連盟はもとより日本医師連盟としても懸命の与党所属国会議員に対する紹介署名活動を展開し、その結果、衆議院議員二百二十一名、参議院議員九十九名の合計三百二十名が紹介議員となっていただき(自由民主党所属国会議員のうち七十五%強が紹介・賛同者)、十一月二十六日(金)、衆・参両院議長に誓願として提出したものである。
 なお本請願は、さる十二月三日(金)、衆・参両議院本会議において全会一致で採択され、「国民医療推進協議会」の所期の目的は一応達成された。
 ところで今国会冒頭の小泉総理大臣の所信表明演説では、「混合診療解禁」に積極的に取り組む姿勢が示されたが、所信表明と極めて異なる請願が全会一致で採択されることは過去に例がないものであり、今回の運動の成果と考えられよう。
 なお、採択された請願は内閣に送付され、内閣は請願処理の経過を後日、衆・参両議院に報告することになっているが、小泉総理大臣や「規制改革・民間解放推進会議」においては混合診療全面解禁の意向が強く、まったく予断を許さない状況となっている。与党所属国会議員の七五%が賛同している現在の国民皆保険制度の堅持を破壊しようとする一部の財界人の動きは、断じて許すことができないものである。通常国会に向けて、都道府県・郡市区医師連盟会員の更なる結束を要請するものである。
 今後は、混合診療だけでなく、株式会社の病院経営参入や将来的な患者負担増に対しても、「国民医療推進協議会」の活動を通じて反対していく予定である。


西島英利参議院議員
厚生労働委員会において「混合診療解禁」問題で質問

西島英利参議院議員 さる十一月十六日(火)、日本医師連盟推薦・後援の西島英利参議院議員が、参議院厚生労働委員会において参議院議員当選後初めての質問に立ち、現在日本医師会の緊急課題である「混合診療解禁」問題につき、「混合診療の解禁には断固反対。あくまでも、保険の導入を前提とした特定療養費制度の拡充で対応すべき」との要望意見を展開した。
 今後の西島議員の活躍が期待される。

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