日医連ニュース
日本医師連盟ニュース
2008/12/25(Thu.) 第52号 12・3・4/4 INDEX
都道府県医師連盟だより
 日本医師連盟による中央での医政活動はもとより、各都道府県において地元選出の国会議員や県・市会議員などへの働きかけなど地域に密着した活動が重要であるとの認識にたち、各地における活動やご意見を紹介いたします。今回は静岡県医師連盟にお願いいたしました。

静岡県医師連盟の活動について

静岡県医師連盟委員長 鈴木勝彦都道府県医師連盟だより(写真)

 「そもそも、国民医療を担当する学術専門団体の責任は、政党政治の限界を認識して、医学・医療の論理と医療の現実を権威を持って主張し、政党政治を主導することである。」
 これは、昭和五十年代から昭和六十年代初頭に活躍した、故安井志郎静岡県医師会長の言である。
 日本の医療制度は、昭和五十年代に入り厚生省内部で画策された無数の医療費抑制策が、昭和五十八年に吉村仁厚生省保険局長(当時)の「医療費亡国論」として発表され、以来、その隠れ蓑のもとで四半世紀にわたり医療費適正化対策もしくは医療保険制度改革等と称して、医療保障の精神を忘れた経済財政至上主義の政策が続けられてきた。この結果、昨今の目に余る医療崩壊や医師不足といった社会現象として、いよいよ国家百年の大計を誤るかの様相を呈してきた。
 日本は、議院内閣制であるがゆえに、政局による閣僚の相次ぐ交代等が起これば、官僚が予算のつじつま合わせでつくった改革案に閣僚が何ら異を唱えることなく法案が上程され、それを医療の実情を知らない国会議員が鵜呑みにして、黙認する。先の総選挙において三分の二以上の圧倒的多数で大勝した自民党は、日本全国のあらゆる業界団体からの推薦・支援を受けていることは衆知のとおりであり、このことからも医療政策について、我々医療団体が正論を展開しているだけでは国家政策として容易に実現しないことは自明の理であり、ここに至って医師会活動と両輪の関係にある医師連盟活動が必要不可欠となってくるのである。
 我々医師をはじめとした医療者は、もはや医療だけに勤しんでいればいい時代ではなくなり、「医政なくして医療なし」といわれるように、積極的に政治に参加していかなければならない時代となった。平成十八年四月に発足した唐澤日医連執行部の概ね二年八カ月にわたる懸命なるロビー活動により、いよいよ小泉内閣時代からの社会保障費削減方針から脱却すべきとの大合唱が自民党有力国会議員のなかでも湧き起こり、日本医師連盟の医療政策実現に向けた理解が深まってきている。

平成20年10月2日
「地域医療崩壊を阻止する
静岡県総決起大会」にて
挨拶する西島英利議員

 当静岡県医師連盟としても、日本医師連盟の活動と連携し、相補的に本県選出自民党国会議員への活動をよりいっそう強めていかなければならないと考えている。
 ここ数カ月の世界経済の情勢を鑑みると、医療を取り巻く環境はますます厳しく予断を許さない状況が今後も続くと予測されるが、このような時にこそ、医師連盟会員一人ひとりが医政活動への関心をいっそう深め、冒頭述べたとおり「政党政治を主導する」の気概を持って活動することが、今まさに求められているのである。
 このような方針のもとで展開してきた、ここ数年間の静岡県医師連盟活動の経緯の主なものを振り返り、紹介することとしたい。

平成20年10月2日
羽生田俊日医連常任執行委員が挨拶

■平成二十年度
 平成二十年十月二日、静岡市内において「地域医療崩壊を阻止する静岡県総決起大会」を開催した。県内医療関係団体を中心に四百名を超える参加があり、自民党国会議員十名(代理二名)・自民党県議会議員三十名の出席を得て、満場一致で社会保障費削減反対の決議を採択した(写真参照)。
 そのほか、静岡県選出の自民党国会議員や自民党静岡県連幹部との懇談を頻繁に行い、社会保障費二千二百億円削減の撤廃要望や医療に関する税制改正要望、医療政策に対する医師会の考え方について、理解を求めている。

■平成十九年度
 第二十一回参議院議員選挙については、郡市医師連盟と一体になり、後援会活動、選挙運動を行った結果、静岡県選挙区推薦候補者の当選は果たせたが、比例代表推薦候補者の武見敬三先生の落選という最悪の結果に終わった。総括として、労力的に精一杯であった運動を評価しながらも、活動の方法に関しては検討の要ありとの結論に至り、医政活動全般の見直しへつなげた。
 静岡県議会においては、超党派の静岡県医療水準向上推進議員連盟が発足し、「静岡県の医療水準の現状と課題及び今後の対策」をテーマに初回研修会が開催され、本連盟の鈴木委員長が「医療の現状と医療改革」と題して講演を行い、県議会議員に対して医療に対する理解を求めた。
 また、自民党静岡県連に対して、国民が安心して暮らせる医療体制の確保を求める意見書の採択について要望した結果、平成二十年三月の静岡県議会本会議において全会一致にて地方自治法第九十九条に基づく意見書が採択され、衆参両院議長、内閣総理大臣、総務大臣、厚生労働大臣宛に提出された。

■平成十八年度
 郡市医師会の若手理事で組織する医療政策等検討委員会を発足させ、医師連盟との共同で医療政策についての勉強会を行うことを試みた。毎回、多彩な講師を迎えて講演会を開催するとともに、若手医師と意見交換を行うことにより、執行部の方針にも理解が得られ、政治に不満を抱いていた若手医師自らが地元で積極的な医政活動を行うようになる等、目に見える成果があった。この年以降、現在まで活動は継続しており、その活動はより深まってきている。

■平成十七年度
 第四十四回衆議院議員総選挙については、各小選挙区ごとに全力の選挙運動が行われた結果、小選挙区では一部及ばなかったところもあるが、本連盟推薦候補者は比例復活を含めて全八小選挙区中七人が当選を果たすことができ、結果として全八選挙区に自民党国会議員を輩出することができた。
 また、静岡県知事選挙の年でもあり、静岡県医師連盟では現職の石川嘉延知事を推薦し、積極的に支援活動を行った結果、知事の四選が果たされた。

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