日医連ニュース
日本医師連盟ニュース
2008/12/25(Thu.) 第52号 1・234/4 INDEX
地域医療再生に向けた診療報酬大幅改定が不可欠
第22回参議院議員選挙 日本医師連盟推薦比例代表候補者の公募開始
地域医療再生に向けた診療報酬大幅改定が不可欠/第22回参議院議員選挙 日本医師連盟推薦比例代表候補者の公募開始(写真) 十二月五日(金)、日本医師連盟(唐澤人委員長 写真)は選挙対策委員会を開催し、衆議院議員選挙および参議院議員選挙に対する取り組みについて協議。第二十二回参議院比例代表候補者の公募開始を了承した。日医連は公募を速やかに行うこととした。

選挙対策委員会の開催

12月5日 選挙対策委員会開催

 第三回目の選挙対策委員会が開催され、伊東潤造選対委員長の進行により会議が執り行われた。
 冒頭、唐澤人連盟委員長は「来年がいよいよ大きな勝負になる。来年が診療報酬改定の年であり、大幅なプラス改定にすることが最終目的で、最も大事なこと。政局の情勢もあるが、医療を建て直すことが大きな課題であり、そこに医政活動として大きな力を発揮しなければならない(要旨)」と挨拶した。
 続いて、伊東委員長は、「政治家の問題発言等により地域の会員先生方から多くのクレームを受けている。しかし、医療政策について反映できるのは自民党以外にない。軸足は少しも変わらない体制で臨んでいく。また、強力なバックアップとして選挙対策委員会で議論を行っていきたい(要旨)」と挨拶をし、協議に入った。
 協議事項としては、衆議院選挙と参議院選挙の運動展開等について議論された。「組織展開における効率性の向上」、「小選挙区担当責任者の対応」、「参議院比例候補者と日医連役員の全国派遣」、「参議院選挙における日医連推薦候補者選考における公募開始」など、さまざまな意見、提案が出され、白熱した議論が交わされた。

第二十二回参議院比例代表候補者の公募開始

 平成二十二年七月施行予定の第二十二回参議院比例代表選挙における日医連推薦の公募開始時期について議論された。先般、九月十六日開催の日医連執行委員会において決定された「参議院比例代表候補者並びにその他候補者の選考基準」と「参議院比例代表候補者選出要領」(二面別表のとおり)を基に、平成二十一年一月二十日開催予定の日医連執行委員会において、日医連推薦候補者を決定すべきであると提案された。
 「四十七都道府県医師連盟のすべてにおいて推薦をいただかなければならない」、「百万票を目指し、多くの票を獲得するうえでも、広く多くの方に周知徹底するべき」、「早期に決定して、候補者本人が都道府県医師連盟を訪問し、多くの会員と会う機会をつくらないといけない」、「早期決定による各種団体対策を行わなければいけない」など、公募開始について、前向きな意見が交わされ、委員会メンバーら全員一致でただちに公募を開始することをとりまとめた。
 日医連執行部はこのことを重く受け止め、さる十二月八日、早急に各都道府県医師連盟委員長宛に公募推薦による選考開始の通達を行った。
 これは、二都道府県医師連盟以上の推薦を要するものの、広く全国からの公募により、日本医師連盟の推薦候補者を決定するものであり、全国組織が一体となって支援していくためのものである。
 公募については、締切りを平成二十一年一月十三日(火)とし、一月二十日(火)の日本医師連盟執行委員会に諮り推薦候補者を決定する予定。

「社会的常識が欠落」麻生総理発言で断固抗議

 麻生太郎総理大臣は、十一月十九日に開催された全国知事会において、「(医師について)社会的常識がかなり欠落している人が多い」と発言した問題に対し、唐澤委員長は、竹嶋康弘副委員長・西島英利参議院議員とともに、二十日、官邸を訪ね、これに厳重抗議するとともに、抗議文を直接、麻生総理に手渡した。問題発言に対し「耐えがたい環境で医療現場を懸命に守る医師の真摯な努力を踏みにじるものであり、奈落の底に突き落とされた思いである」と批判、「このままでは日本の医療の再生はますます困難になる」と主張し、麻生総理に対して、過ちを認め、認識を改めることを強く求めた。
 抗議文を受け取った麻生総理は、「ご迷惑をおかけし申し訳ない」と陳謝し、発言を撤回する意向を示した。

参議院本会議で西島議員が抗議表明 麻生総理陳謝

11月26日 参議院本会議にて
質問に立つ西島英利議員

 十一月二十六日、参議院本会議において、平成十九年度決算について自民党を代表して西島英利参議院議員が登壇。
 冒頭、西島議員は総理の医師に対する問題発言を取り上げ、「国民は耳を疑った」と批判し、問題発言の真意を改めて問いただした。総理は「不適切な発言をしたことは誠に軽率であり、申し訳なく反省している」と異例の陳謝を行った。

「平成二十一年度予算編成の基本方針」の決定 財政出動路線へ転換
 政府は十二月三日、臨時閣議で「平成二十一年度予算編成の基本方針」を決定した。基本方針の原案では、平成二十一年度予算の概算要求基準(シーリング)の「堅持」を「維持」に表現を弱め、外枠で財政出動を容認することが盛り込まれた。
 ここに至るまでの自民党内の動きとしては、同党の厚生労働部会と社会保障制度調査会、雇用・生活調査会の合同会議が十一月二十七日に開催され、平成二十一年度の予算編成において、社会保障費二千二百億円削減を行わないことを求める決議が採択された。また、十二月一日から連日、自民党政調全体会議と総務会が開催され、多くの国会議員から「社会保障費の抑制は医療現場の崩壊を招き、国民医療に多大の影響を及ぼす」などの意見が出され、今までの財政再建路線一本槍からの方針転換を強く印象づけるものであった。
 予算編成の基本方針には、景気テコ入れに重点を置き、「状況に応じて果断な対応を機動的かつ弾力的に行う」と明記され、政府・与党内では、補正予算や三千三百億円規模といわれる重要課題推進枠等の活用で社会保障費などは積極的に積み増す方針で動き始めた。医療の経費などに関しては「新たな財源の確保について検討する」とし、積極的に安定財源を探す考えが盛り込まれた。

社会保障費財源確保の約束

 これを受けて、翌四日、日本医師連盟執行部は、自民党の細田博之幹事長、笹川堯総務会長、保利耕輔政務調査会長、古賀誠選挙対策委員長の党四役を訪れ、医療の再生に向けてさらなる政策の転換をはかるよう強く要望を行った。
 医療の危機的状況のなかで、医療および介護の再生のためには、スローガン化した社会保障費の機械的抑制の撤回を引き続き訴えるいっぽう、「重要課題推進枠」の実質的な確保を実現していくことが最重要であることを強く主張した。
 日医連の緊急要望に対し、自民党役員らは一様に「シーリング枠を外すと国家予算の枠組みが危うくなる。そのかわり、補正予算や特別枠の活用で社会保障費などの不足分を十分確保していく」と約束。
 これらを踏まえ、日医連は自民党の社会保障の財源確保への前向きな対応と、医療崩壊阻止に対する党を挙げての精力的な取り組みを評価。また、政権与党の自民党を支援することによって、社会保障の一層の充実と推進をはかることが不可欠と考え、政局不安定ななかではあるものの、揺るぎない姿勢で臨むことを再確認した。

別表 第22回参議院比例代表候補者公募要領
※平成20年10月25日付日医連ニュース第51号掲載済

「参議院比例代表候補者並びにその他候補者の選考基準」

  1. 参議院比例代表選挙候補者
    (1)参議院比例代表選挙における日本医師連盟の推薦候補者については、広く会員の中から公募する。
    ただし、会員以外の者であっても、国政活動面において日本医師会の政策実現に貢献し得る候補者である場合は、応募することが出来る。
    (2)応募しようとする者は、複数の都道府県医師連盟の推薦を要するものとする。
    なお、各都道府県医師連盟の推薦候補者は1名とする。
    (3)日本医師連盟の推薦枠は、原則として1名とする。
    (4)候補者は、日本医師連盟委員長が公募する。
  2. 衆議院議員選挙候補者
    衆議院議員選挙に関する日本医師連盟推薦候補者については、都道府県医師連盟の要請があったものに基づき、日本医師連盟が決定する。
  3. 参議院選挙区選挙候補者
    参議院選挙区選挙に関する日本医師連盟推薦候補者については、都道府県医師連盟の要請があったものに基づき、日本医師連盟が決定する。
  4. その他
    その他、首長選挙、都道府県並びに市町村議会議員選挙に関する推薦候補者については、原則各都道府県医師連盟及び各郡市区医師連盟において対応するものとする。

「参議院比例代表候補者選出要領」

  1. 日本医師連盟は「参議院比例代表候補者並びにその他候補者の選考基準」に基づき、推薦候補者の公募を行う。
  2. 各都道府県医師連盟は、「参議院比例代表候補者並びにその他候補者の選考基準」に基づき、各郡市区医師連盟の意見を反映した上で、候補者を日本医師連盟に推薦する。
  3. 推薦候補者は、「経歴書(含む業績等)」、「マニフェスト」、「都道府県医師連盟推薦状」、「本人承諾書」を、日本医師連盟まで、別途定める時期までに提出するものとする。
  4. 推薦候補者は、「執行委員会」において多数決により決定する。
  5. 決定された推薦候補者は、日本医師連盟、都道府県医師連盟ならびに郡市区医師連盟の総意に基づくものであり、各医師連盟は、総力を挙げて推薦候補者を支援しなければならない。

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