日医連ニュース
日本医師連盟ニュース
2012/12/25(Tue.) 第74号 12・3/3 INDEX
平成二十四年度
第二回「日医連医政活動研究会」ブロック別研究会を開催

 今年度初となるブロック別の「日医連医政活動研究会」が、中国四国ブロック(愛媛県医師連盟が当番県)として九月十六日に岡山県で開催された。

中国四国ブロック開催
(当番県 愛媛県医師連盟)

日医連医政活動研究会
(中国四国ブロック)

 去る九月十六日、中国四国ブロックにおける第二回「日医連医政活動研究会」が岡山市内で開催された。当番県である愛媛県医師連盟が主体となって企画・運営を行い、他の中国四国の各県医連の協力のもと、各県の研究会メンバーと地区医師連盟役員等約百名が参集した。
 研究会は、大野尚文愛媛県医師連盟常任執行委員の司会で進められ、民主党政策調査会長代行である仙谷由人衆議院議員(民主党・徳島県一区)と、元内閣官房長官の塩崎恭久衆議院議員(自民党・愛媛一区)の両議員による講演ののち、研究会メンバーらとの意見交換が行われた。
 はじめに、久野梧郎愛媛県医師連盟委員長から、「本日の医政活動研究会では先生方の活発な議論を期待している。また、講演の終了後、意見交換会の場も設けてあるので、講師の先生や他県の先生方とも交流を深めていただきたい(要旨)」との挨拶があった。
 また、今村聡日医連副委員長からは、「国民の政治離れがいわれているが、医師会員であっても政治に関心が薄い方々も増えてきている。私たち医師は、国民の健康を守るための政策を実現させるべく努力しているが、法律の改正等が必要な場合がほとんどであり、さまざまな議員の理解を得なければ政策に反映することは難しい。そのためには、医政活動の重要性を理解し、陳情活動等を行っていかないといけない。本日、出席の先生方はすでにこの点を十分に理解をしていただいていることと思うが、今回出席いただけなかった先生方にも医政活動の重要性を理解していただけるよう、地元に戻られた際には是非ともよろしくお願いしたい(要旨)」と述べ、医政活動のさらなる展開の必要性を訴えた。
 講演の部に移り、まず、仙谷由人民主党政策調査会長代行が事前に質問として受けていた、TPP(環太平洋経済連携協定)問題と医療機関における控除対象外消費税問題の二つについて見解を述べた。
 「TPP問題については、アメリカと比較して、日本の医療制度は極めて優れており、医療に関しては恐れることはないと思う。医師会は冷静な判断をしてほしい。
 消費税問題に関しては、国民に丁寧に説明をし、どのような形であるかは別にして、患者さんにも一定程度負担をしてもらうのはやむを得ないのではないか。また、先生方からも患者さんに対して現状をお話しして、理解をしていただけるようにしてもらいたい(要旨)」
 そののち、次のような講演があった。
 「日本の国民皆保険制度は、世界に誇れるわが国の大切な社会インフラであり、国民の多くが、当たり前のことと考えている。今後は、日本をギリシャ化させないようにしなければいけない。先進国では、財政規律と社会保障は表裏一体の関係であり、日本においても、これから先どの程度借金を続けられるのかが課題である。今の医療水準を維持するためにはどのようにすべきか、医師の先生方や国民全体で、増加する社会保障費をどのように手当てしていくのか、税収、保険料、窓口負担等どのようにしていくのか、これからの医療政策を真剣に考えていかなければならない事態に直面している(要旨)」
 これを受けて会場から、「TPP参加は医療の問題だけでなく、それぞれの国家の特徴がなくなるようなことも問題である」と、TPP問題に対する懸念が示された。
 引き続いて、塩崎恭久元内閣官房長官(自民党)から外交問題、原子力事故の国会事故調査委員会などに関する内容の講演があり、医療に関して次のような発言があった。「TPPは、ハイレベルな関税撤廃を原則とする経済協定であり、特に農林分野への影響が大きいと考えられている。保険証一枚でどこでも診察の受けられる、国民皆保険制度は我々が守っていくので、医師会としては、医療分野に関しての反対は当然と思うが、TPP全体に反対というのは少し行き過ぎではないかと思う。
 消費税については、中医協で議論の場が設けられており、特に高額の設備投資や建物に関しては解決しなくてはいけない。また、英国では、医薬品はゼロ税率となっているので、それも参考にしながら解決をしていきたい。
 三、四年前には医療崩壊が盛んに叫ばれたが、最近は少し状況が改善してきたと新聞報道等からは感じているが、本質的な問題の解決はまだできていないと思う。診療報酬の配分や薬価の問題などまだまだ改善しなくてはいけないことも多い。
 がん対策に関して、がん登録法案について、民主党の梅村聡参議院議員や関係議員と協力しながら議員立法で制定できるように進めていて、私の使命としてこの法案を何とか成立をさせたい。今後は戦略として、日本が医療立国となれることを目指していきたいと考えている(要旨)」
 最後に、参加者から次のような発言や質疑があった。
 「行政処分に関して、公立病院のほうが処分内容が軽い場合も見受けられる。このような医療機関における官民格差の解消をお願いしたい」
 「TPPのISD条項に関連して、薬事審議会や薬価の価格決定に関し、提訴される可能性があるのではないのか」
 研究会終了後、意見交換会が行われ、仙谷・塩崎両議員を含め、参加者らの間でさらなる議論が展開された。

以上

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