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2011/12/25(Sun.) 第70号 123・4・5/5 INDEX
第3回「日医連医政活動研究会」ブロック別研究会を開催

十一月二十七日 東京・関東甲信越ブロック開催

(当番県 千葉県医師連盟)

意見交換を行う研究会メンバー
(東京・関東甲信越ブロック)
  講演する原中勝征日医連委員長
(東京・関東甲信越ブロック)
 

 東京・関東甲信越ブロックの第三回「日医連医政活動研究会」が、十一月二十七日、都内で開催された。担当は千葉県医師連盟が当たり、八十名超の日医連会員が参加した。
 玉元弘次第三回日医連医政活動研究会幹事長の司会のもと、原中勝征日医連委員長、藤森宗徳千葉県医師連盟委員長が次のように挨拶を行った。
 原中委員長は、「現在、政府との交渉なくしては自分たちの主張が実現しないという仕組みのなかで、皆さんがどのように心をひとつにして医政活動を行わなければならないかということを、この日医連医政活動研究会という場を通じて話し合っていただきたい」と、日医連会員の協力を要請した。
 藤森委員長は、「国民の生活を守るために政治に働きかけが重要だという認識はあるが、実践活動が思うように動いていないのが現実。自分たちを守るためではなく、国民の生活を守るために胸を張って行動していきたい。誰かがやってくれるだろうと思うのではなく、医師連盟活動をやってほしい」と述べた。
 続いて、土橋正彦千葉県医師連盟副委員長が座長となり、原中委員長による講演「日医の当面の課題」が行われた(講演内容は後掲)。
 会が終了したのち、会場を移して、出席者全員が参加しての懇親会が開かれ、和気藹々とした時間をともに過ごした。

【原中委員長講演要旨】
東日本大震災への対応
 東日本大震災では、日医はいち早くJMATを立ち上げたが、現在は、JMATIIを組織し、診療支援、心のケア、訪問診療などを継続している。
 また、三十四医療関係団体で「被災者健康支援連絡協議会」を結成し、政府からの協力要請を受けて被災者の健康確保に必要な取り組みを行っている。
 十月には、国の中央防災会議「防災対策推進検討会議」が設置され、委員として参加している。これは、東日本大震災の政府の対応の検証と今後の防災対策等の充実・強化をはかるものであり、平成二十四年夏頃に最終報告を出す予定である。
国民皆保険を堅持するための雇用環境の是正
 二〇〇四年に製造業への労働者派遣が解禁されて以来、非正規従業員の割合が拡大し、二〇一〇年には二十五〜三十四歳の若者の四人に一人が非正規従業員である。若者の生活が不安定になっており、社会保険未加入者が増大することが懸念される。
 さらに、二〇〇九年には、二百万円以下の給与所得者は、一千万人を超えている。雇用や生活の不安を背景に、二〇一〇年には未婚率の割合が増加しており、所得と生活環境の是正に向けて対策を講ずる必要がある。
社会保障全体の長期ビジョンの提示
 合計特殊出生率が低迷していることは周知のことであるが、子育てで負担に思うことを質問すると、各国共通で「出費がかさむ」という回答が上位を占めた。そこで、民主党に対して、「子ども手当」の提案を行った。
 現在は、高齢者(六十五歳以上)一人を若者二・八人で支えているが、二〇二五年には二・〇人、二〇五〇年では一・三人となる。超高齢社会はかねてから予想されていた。高齢者医療制度の見直しは、もちろん重要ではあるが、目先の課題に翻弄されず、将来を見据えた長期ビジョンを早急に示すべきである。
医療費の引き上げと患者一部負担割合 の引き下げ
 一般会計歳出のうち社会保障関係費は、二〇一一年度予算では微増となったが、医療費の国庫負担割合の引き下げと家計負担の増加、患者一部負担割合の引き下げ、国民健康保険の滞納世帯の問題、被雇用者保険の保険料率の格差、市町村国保間の保険料負担の格差等の課題がある。これらを勘案したうえで、日医は二〇一〇年、国民の安心を約束する医療保険制度を堅持するための「全国一本化」の提案を行った。
TPP参加に対する日医の考え方
 日医は、国民皆保険の堅持、医療の安全と安心の確保が約束されない限り、TPPへの参加を認めることはできない。TPPそのものを否定し、根拠のないことに対して、懸念を抱いているわけではない。また、政府はTPPへの参加問題を契機に、医療の営利産業化を推進し、混合診療の全面解禁、医療への株式会社参入などの規制改革を進めるべきではない。

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