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2011/10/27(Thu.) 第69号 123・4・5/5 INDEX
第3回「日医連医政活動研究会」ブロック別研究会を開催

十月八日 九州ブロック開催

(当番県 佐賀県医師連盟)

質疑に答える講師(九州ブロック)   (九州ブロック)
 

 第三回「日医連医政活動研究会」(九州ブロック)が、十月八日、佐賀県医師会成人病予防センターにおいて開催された。参加者は、九州各県から集まり、百名超となった。
 研究会では、貝原良太佐賀県医師連盟常任執行委員と枝國源一郎同執行委員が進行役を務め、大串博志衆議院議員(民主党・佐賀県2区)と福岡資麿参議院議員(自民党・佐賀県選挙区)による講演があり、そののち、両議員と参加者との間で忌憚のない活発な意見交換が行われた。
 まず、今回担当した池田秀夫佐賀県医師連盟委員長の挨拶で始まった。
 池田委員長は、「医療現場の我々が、よりよい医療を提供したいといくら願っても、その声が立法府や行政府に届かなければ、国の制度にはなかなか反映されない。このことこそ、我々が、医政活動、政治活動に関わらざるを得ない最大の理由である。我々が医政活動を通して実現したい最大の目標は、日本の宝ともいえる国民皆保険制度を、安定的で質の高い医療提供体制のもとで堅持したいという一点に尽きる。本日参加の先生方には、これまで以上に医政活動に関心を持っていただくとともに、各県における医政活動活性化のけん引役となっていただきたい(要旨)」と述べた。
 続いて、二部構成の講演と意見交換に移った。第一部は「議員からみた、これまでの医政活動の評価」と題して、両議員による講演が行われた。
 大串議員は、「政策決定過程において、さまざまな政策が民主党内の各部会だけで検討されるのではなく、多くの議員参加のもと、党全体で取り上げられる機会が増えてきた。これまでのような医療の専門家議員とのつながりは当然であるが、専門家以外の地元議員ともタイムリーに情報交換を行っていくことが、政策決定過程においてより有効となっている(要旨)」と説明した。
 また、福岡議員は、野党となった自民党と医師会を比較し、両組織の類似性を指摘。参議院自民党内の現状を引き合いに、自民党が改善を迫られている課題は、医師会も同様ではないかとして、「医師会のさらなる団結が求められており、そのことが、医療政策の反映につながってくるのではないか(要旨)」と述べた。
 第二部は「今後の医政活動に対する注文」と題して、まず福岡議員から発言があった。
 福岡議員は、「任意加入団体である医師会の組織率の再強化、病院・診療所や世代間などの幅広い意見の集約、政策決定過程におけるいわゆる族議員の影響力の低下とともに多くの議員とのつながりをもつことの重要性、医師会への理解を得るための一般市民に向けた情報発信、医師会員の地域活動への積極的な参画などが必要」と課題を挙げた。
 また、大串議員は、国の意思決定は三層構造であるとして、「まず政府の中枢と専門団体との交渉、次が専門性に詳しい議員の強化、三番目が地元レベルでの議員との交流であり、地元レベルでの定期的な、あるいは折に触れた交流が、現在の政策決定過程では重要である」と再度指摘した。
 講演終了後、参加者から、「医療政策と政治活動の関わり方」についての発言があり、これに対して、藤川日医連常任執行委員は、「日医が公益認定法人となれば役員の三分の一規定により、すべての役員が日医連の役員を兼務することはできなくなるが、医師会で医療政策を考え、医師連盟においてその実現を目指すとするこれまでの考えを踏襲していく」と説明した。
 また、福岡議員は、「団体それぞれで距離感が異なるが、政策決定の部分も足元は一つ、政治活動の部分でも一枚岩であることが大切である」と述べた。
 大串議員からは、「医療に関する政策決定と医療を巡る政治活動は同じではないか。また、その政策は必ず民意を反映したものではなくてはならない。医師会と医師連盟の関係は、党と政府の関係と同様ではないか」との認識を示した。
 今回、大串・福岡両議員の指摘は、一部の特定分野に強い影響力をもつ議員を中心に行われてきた政策決定が、幅広い議論のなかで行われるようになってきており、それぞれの地元議員との常日頃の交流が重要であるということで奇しくも一致した。
 研究会は、二時間という限られた時間にもかかわらず、若手研究会メンバーの熱い思いが伝わる活発な会となり、盛会裏に終了した。また、その後の懇親会にも両議員は出席し、参加者と親しく意見交換が行われた。

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