夏の参議院選挙に向けマニフェストの作成を急いでいる民主党は、四月二十三日適切な医療費を考える議員連盟の「医療機器ワーキングチーム」が開かれ、日本医師会から中川俊男副会長、鈴木邦彦常任理事が出席し、日本医師会の主張として「日本の医療機器のあり方についての要望」を述べるなど意見交換が行われた。
要望内容は、一.特定保険医療材料の薬事承認および保険収載までの時間、MRI、CTなどの審査および薬事承認までの時間を短縮し、機能性を高める、二.高品質で安全な医療機器を適正価格で、安定的にかつ迅速に供給できる体制を整える、ことが要点である。
問題点として、中川副会長は次の点を指摘した。
(1)医療機器の内外価格差を解消する必要がある
(2)特定保険医療材料の薬事承認に要する時間が長すぎる
(3)最近の新医療機器の承認状況は保険適用までの期間がかかりすぎる
(4)混合診療の全面解禁に反対
・現在も、厚生労働大臣の定める「評価療養」と「選定療養」は保険診療との併用が認められている。
・革新的医療機器等が保険給付外で自由価格で販売されるようになれば、一部の高所得者が恩恵を受ける。しかし、その結果、幅広く国民が幸福になるという幻想にエビデンスはない。
・混合診療の全面解禁によって、公的保険の給付範囲が縮小する懸念がある。
(5)医療における規制改革の方向性への反論
・規制・制度改革に関する分科会のライフイノベーションWGでは、混合診療の全面解禁や医療ツーリズムに関する要件緩和について議論が行われたが、医療関係者からのヒアリングは行わないと言われている。
・医療ツーリズムに係る規制改革も混合診療の全面解禁とセットの議論であると認識し断固反対である。また、外国人患者により医療機関の経営がよくなり、日本人患者も幸福になれるのか疑問である。
続いて、出席議員と質疑応答が行われ、互いに保険収載や薬事承認の時間短縮の必要性を再確認する一方、議員側から「患者側の要望や苦しみにも光をあて議論することも必要」との意見も出され、中味の濃い意見交換となった。
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