日医連ニュース
日本医師連盟ニュース
2010/5/25(Tue.) 第60号 1・2・345/5 INDEX
日本医師連盟執行委員会開催
【執行委員会】

政権与党に物申す姿勢を貫く

 議事に移り、次のような質疑が交わされた。
 「原中委員長の挨拶のなかに委員長に一任するとの言葉があったが、常任執行委員全員が一致しての結果なのか。推薦と支持を同等に扱うとのことだが、前回の執行委員会の説明では組織内決定に関する取り消しの根拠はないということではなかったのか(岐阜)」
 これに対し、横倉義武副委員長は「私は西島議員の地元でもあり、これまで全力をあげて選挙を闘ってきたし、政権交代が起こり、たとえ福岡県だけになったとしても西島議員を当選させると話してきた。しかし、規制改革に関してさまざまな問題がでてくるなかで、混合診療の問題が再燃している状況等を考慮すると、医政活動を行っていくための環境を整備する必要性も理解できる。そうした議論のなかで、原中委員長が政権与党と太いパイプを持っており、規制改革等の問題でも話をすることで政策転換につながってきたという現実があることや、医療環境を適正なものに整備し直して、国民によりよい医療を提供していくためには、委員長に一任する以外に選択肢はなかったと思う。突然のことなのでいろいろ思うところがあるだろうが、やはり今回示された形で選挙に臨まないと厳しいのは事実だと思う」と説明した。
 「横倉副委員長の説明は理解できるが、それでは自民党政権下で貸しをつくって交渉を優位に進めていたことと同じことなのではないか。政党に寄り添って、言われるままに利益を得ようとする努力はやめて、日本医師連盟、日本医師会は独立した組織であることを国民に示すべきである(北海道)」
 原中委員長は「只今の日本医師連盟、および日本医師会のあり方に関する主張は私も同じだが、一部誤解も散見される。私は民主党に対してまったく頭は下げていない。むしろ、今考えるべきは、これまで自民党に偏りすぎていた反動が来ているということであり、今後どの政党が政権をとろうとも政党に振り回されるようなことがあっては決してならないと考えている。したがって、政権政党に物申す態度は変わっていないし、今後も民主党に媚を売るようなことはしない」と力説した。

「推薦」と「支援」
なぜ処遇がわかれたのか

 推薦と支援に処遇がわかれたことを問う意見もあった。
 「原中委員長の説明は一応わかったが、それならばどうして民主党から出馬する安藤氏だけを推薦としたのか。三人とも同じ処遇にすべきだったのではないか(徳島)」
 これに対し、中川俊男副委員長は「前執行部の時代から政策担当として政権とつき合ってきたが、政権交代以前は自民党一辺倒であり、野党とはコミュニケーションをとらないようにしてきた。それは、当時の政権与党、とりわけ厚生労働関係の議員の政治力を最大限に発揮してほしいとの思いからだった。しかし、政権交代以降は交渉相手を見つけることにエネルギーを費やす結果となった。また、自民党政権時代は、我々からアポイントをとり、意見を聞いていただきたいと申し入れて意見交換を行っていたのが、原中執行部誕生後は状況が一変し、民主党のほうから我々の意見を拝聴したいと言ってくるようになった。原中委員長は、当然、全員を推薦にできるのであればしたいという考えももっているが、与党との良好な関係を壊したくないという政治環境がそれを許さないと思う」とこれまでの経緯を交えて説明した。
 原中委員長も「この一カ月の間に、まず我々が行ったのが独立行政法人福祉医療機構の存続だった。解体されると、病院の改築や耐震構造化の資金がなくなってしまうことから四病院団体の代表や福祉の代表が幹事長室に陳情に押しかけたが、あいにくいい返事をもらうことはできなかった。しかし、今村聡常任執行委員が陳情しに存続を求めたところ、日本医師連盟がそこまで言うのであればということで存続が決まったという経緯がある。さらに、いろいろな団体が陳情にくるのではなく、日本医師連盟が医療関係者の意見をまとめて陳情にきてほしいとも要望された。我々は病院の協議会や有床・無床診療所の協議会をつくり、すべての医療機関がひとつになることを一生懸命に提案しているが、逆に民主党から提案があったということで驚いている」と説明したうえで、「民主党が意見を求めているからこそ消費税の問題を解決し、間違いのない医療制度をつくることが必要だと考えて行動している」と述べた。
 今後、さらに新たな候補者が現れた場合の対応を問う意見もあった。
 「日本医師連盟の決定に関しては原中委員長に一任したいと思うが、都道府県ごとにおかれている状況が異なるのでその対応については、日本医師連盟の決定を尊重しつつも、それ以外の選択肢がありうることを理解してほしい。また、これから立候補を予定している会員もいると伝え聞くが、日本医師会に対する貢献度に応じて支援してはどうか(奈良)」
 これに対し、羽生田俊副委員長は「やはりどこかで線引きする必要があると考える。現時点では、複数の都道府県医師連盟の推薦があり、かつ日本医師会の会員であることが最低の条件になるだろう。これから参議院選挙に出馬しようという方すべてを、無条件で支援するというわけにはいかない」として理解を求めた。

執行部が仕事をしやすい環境づくりを

 それ以外にも次のような意見や要望が相次いだ。
 「本県では、政党支持ではなく個人を支持するという形で対応している。これまでの西島議員の活動を総合的に検討した結果、我々の代表としてしっかり頑張っていると評価した。西島議員を外すことは考えてもいない(秋田)」
 「前回の執行委員会では都道府県医師連盟の意見を聞くとのことだった。それを公開してほしい。愛知県医師連盟が実施したアンケート調査の結果は、西島議員に対する組織支援が一四・四%、西島議員と民主党に対する支援が六三・三%で、計七七%以上が西島議員の支援に賛成だった(愛知)」
 「現在、医師連盟の分離を進めている最中で、急遽執行委員会を開催した。その結果、出席者全員が西島議員を推薦することに賛成だった。一方、それ以外の候補者の推薦について賛成する者はなかった。その背景には、四月の浅口市長選挙で、菅副総理の義兄で当初楽勝と思われた候補者が大差で敗れたこともあるように思う(岡山)」
 「我々の県でも、今回の件についてはかなりの議論を行い、苦渋の選択をして回答をした。本日はどのような結論になろうと従うつもりだが、我々の意見が多数だったのか、それとも少数だったのかがわからなくては、帰ってから説明ができない(神奈川)」
 これに対し、藤川常任執行委員は「単独推薦や複数推薦等をまとめると、西島議員を推薦した都道府県医師連盟は二十六、同じく安藤氏は日医連の決定に従う、複数推薦を認める、原中委員長一任等を含めて十八、清水氏は二、推薦候補なしが六、当日意思表示が三であった。委員長の挨拶にもあったように常任執行委員会では、この結果に今後日本医師連盟が政権与党とさまざまな交渉をしていくことなどを加味して侃侃愕愕とやってきた。最終的に、執行部が会員のために仕事をしやすい環境づくりに協力するということで、副委員長三人を含め、会長に一任するという結果に落ち着いた」と述べ、重ねて理解を求めた。
 最後に、執行委員会において、常任執行委員会の結論をご理解していただきたい、と了承を取り参議院比例代表選挙の協議を終えた。

二十二年度交付金
昨年同様に四〇%を交付

 もう一つの議題である平成二十二年度交付金について、横倉副委員長が「交付金については日本医師連盟の財政状況等を勘案したうえで、年度ごとに負担金に対する交付金を決定している。二十二年度については、昨年同様負担金の四〇%を交付したい」と説明した。全会一致でこれを承認し、長時間に及ぶ執行委員会を終了した。

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