日医連ニュース
日本医師連盟ニュース
2010/2/25(Thu.) 第59号 1・2345/5 INDEX
日医と民主党が信頼関係構築へ
医療政策で初の勉強会
共通認識の必要性を重視

日医と民主党が信頼関係構築へ/医療政策で初の勉強会/共通認識の必要性を重視(写真) 衆議院民主党の国会対策正副委員長ならびに厚生労働委員会委員と日本医師会執行部との初めての勉強会(質問研究会)が、一月二十九日午前十時三十分から衆議院の院内で開催された。
 日本医師会は政権交代後、与野党と良好な関係づくりに全力を上げており、とくに政権与党である民主党と勉強の場を構築することが不可欠と位置づけていた。そして今回の勉強会はわが国の医療崩壊を食い止めるために、民主党と医療政策で共通認識を持つことの重要性を確認する第一歩となった。
 民主党からは山岡賢次国会対策委員長をはじめ約五十人のメンバーが出席、日本医師会からは唐澤人会長、竹嶋康弘・宝住与一両副会長、内田健夫・中川俊男両常任理事が出席し、中川常任理事が日本医師会の医療政策を丁寧に説明するとともに、出席議員からは医療崩壊を憂い真摯な質問が多数出され、協議時間が足りないほどであった。
 内山晃(厚生労働委員会筆頭理事、国会対策副委員長)の司会で勉強会は進められ、まず、山岡国対委員長が「日本医師会と民主党では医療政策に大きな違いはない。具体的な内容を研究し民主党の考えをまとめ、国会の場で説明していきたい。また、国民は現在、子育てや福祉の不安から貯金をして将来に備えている。このような状況を踏まえ高齢社会を是非とも活性化させていきたい」と挨拶した。
 次に、唐澤日本医師会長(写真中央)が挨拶に立ち「日本医師会は国民の立場から医療を守ることに努力していく」と基本姿勢を表明し、最後に「本日は勉強会を設けて下さり厚く御礼申し上げます」と謝意を述べた。
 続いて、中川常任理事から「日本医師会の医療政策」に関し、これまでの経緯をもとに丁寧に説明した。第一部総論では、一.社会保障費削減政策を振り返る、二.医療崩壊の実態、三.医師不足対策、四.国民皆保険を守る財源についての検討、五.医療・介護の強化によって日本の再生を、第二部各論では、一.高齢者のための医療制度、二.新医師臨床研修制度を見直し、地域で医師を育てる、三.平成二十二年度診療報酬改定における重点課題、四.医療機関経営を揺るがす課題、五.医療分野での規制改革について、の項目についてそれぞれ要点を説明した。
 とくにそのなかで、高齢者医療制度に関して、日本医師会は「保障」の理念のもとに運営される「高齢者のための医療制度」を提案し、七十五歳以上の高齢者を手厚く支える、医療費の九割は公費(主として国庫)負担等、基本的スキームなどを提示していると趣旨を説明。
 また、診療報酬改定に関しては、今日は陳情の会ではないので日本医師会の政策として説明させていただくと断り、改定財源の確認を述べるとともに再診料については「再診料の統一には賛成であるが、再診料は診療所の生命線であることから、診療所の再診料を引き下げて病院と統一することは認められない」と強調した。
 さらに、外来管理加算については、日本医師会は「外来管理加算に関するアンケート調査」を行い、「五分要件」の問題点は医師にとっても患者にとっても最善の医療の妨げになっているとの結果から、撤廃を求める考えを明確にした。
 日本医師会の医療政策の説明に対し、出席議員からは「医師数を一・五倍にする必要があるとしているが、医師の偏在、新医師臨床研修制度など問題もあり、増やしたとしても参入するのは十年後である。そのため、既存の大学の定員数を増やすとか、人口分布も考えながら制度設計していかなければならない」との指摘があった。
 また、「地方の医師会で指導医を持ち回りで責任を持って養成してはどうだろうか」「医師の偏在問題は自治医大の方式で解決できないか」、さらに窓口負担の問題、救急医療受け入れ医療機関に対する評価の提案など、医療政策の現状に対し広範で専門的な質問や意見が数多く出された。
 初めての勉強会は実り多く終了し、民主党と日本医師会が信頼関係構築に向けて歩みだした。

日医と民主党が信頼関係構築へ/医療政策で初の勉強会/共通認識の必要性を重視(表)

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