日医連ニュース
日本医師連盟ニュース
2009/8/25(Tue.) 第56号 123・4/4 INDEX
都道府県 医師連盟だより
 日本医師連盟による中央での医政活動はもとより、各都道府県において地元選出の国会議員や県・市会議員などへの働きかけなど地域に密着した活動が重要であるとの認識にたち、各地における活動やご意見を紹介いたします。今回は鳥取県医師連盟にお願いいたしました。

鳥取県医師連盟の活動について

鳥取県医師連盟委員長 岡本公男

都道府県 医師連盟だより(写真)一.はじめに

 松葉ガニ、二十世紀梨と砂丘で有名な鳥取県は、人口約六十万人で全国最少、本年三月まで県庁所在地である鳥取市には高速道路が通っていなかったほどの田舎である。最近、「鳥取は島根の右です」と、山陰両県の地図をプリントしたTシャツがつくられ、お互いにその存在をアピールしている。
 会員である医療機関は診療所四百十五、病院四十五、会員数は千三百五十七名、衆議院は一区と二区、参議院は全県一区である。
 地区医師会は四つだが、医師連盟活動を行っているのは鳥取大学を除く東部、中部、西部の各地区医師会で二次医療圏と合致しており、鳥取県医師連盟と連携して政治活動を展開している。
 鳥取県医師連盟は昭和二十五年五月、当時は鳥取県医政連盟として設立されたが、昭和二十七年八月、改組され現在に至っている。

二.組織について

 鳥取県医師連盟は県医師会長を委員長とし、副委員長に県医副会長、常任執行委員には三地区医師会長が参画し、執行委員には県医役員全員と地区医連推薦委員など総勢三十六名の役員が執行委員会を構成している。
 通常年二回の執行委員会で収支予算、事業報告・収支決算を承認し、総会へ報告を行っているが、急な国政レベル選挙での推薦候補者を決定する際などには臨時に執行委員会を開催している。
 また、毎月一回開催の県医理事会には地区医師会長がオブザーバ出席しているので、臨時火急な案件については、理事会終了後、すぐに医師連盟の打ち合わせ会に衣替えして議論できる体制にある。
 このように県医連と地区医連とは連携がうまく取れているが、地区医連の会議に県医連役員が出席していない地区もあり、中央情勢、県医連の考え方などが末端まで行き届きにくく苦慮する一面もある。地区医連の自主独立という考え方もあるが、県医連としては地区医連のやる気を引き出しながら、同じ目的達成のために連携していくべく努めている。

三.県内の政治活動について

 県内の各種選挙のうち、知事選挙では一貫して自民党推薦の候補者を推薦しており、前知事の片山善博氏はテレビ等での評論で有名である。現在の平井伸治知事とも年に一回は面談し、保健・医療・福祉行政について意見交換を行っている。
 県議会議員選挙では、昭和五十年代後半、医師である議員が四名在籍していた時代もあったが、現在は一名で、ほかに病院経営理事長(非医師)一名を推薦している。
 市長選挙では、平成二年倉吉市長選挙に立候補した医師(元県議、落選)、平成三年米子市長選挙に立候補・当選し、三期務めた当時の県医常任理事を推薦した。現在、医師の市長はいない。

四.国政選挙について

◆県内における国政選挙では、衆参ともに自民党候補者を推薦しているが、過去に複数の党に在籍した議員も推薦してきた。各議員へは機会あるごとに集会の案内をし、挨拶、国会報告、医療問題に関するレクチャーを行うなど、常日頃から密接な関係を保っている。このたびの総選挙では、昨年八月の執行委員会において早々に自民党候補者の推薦を決定(一区・石破茂氏、二区・赤澤亮正氏)し、推薦状を交付している。
◆平成十四年の参議院補欠選挙は混戦を究めた。保守分裂、諸派、共産の四人が立候補し、県医連は医師の保守候補者を全力で支援したが残念ながら次点で惜敗した。この選挙で自民党県議が分裂し、県医連でも活発な議論があり、推薦はすんなりと決まらなかった。そこで、候補者に対して国民皆保険制度堅持や「骨太の方針」(当時の小泉首相改革)などについてどう考えるか、との公開質問状を出して推薦の議論とした。今で言うマニフェストに近いものであった。
◆参議院比例区では、当然、日医連推薦の候補者を全力で支援している。過去の選挙では、人口、会員ともに全国最少の県にあって約二千票しか獲得できていないが、A(1)会員一人当たりの得票数では全国上位であることは会員各位の理解、熱意、積極的な運動の表れであり自負してよいと思う。全国の医師連盟の一部には、日医連決定に足並みがそろわず、一致結束して支援できなかったことは残念至極である。

五.西島英利参議院議員の支援活動について

平成21年3月12日
西島英利議員の講演(米子市)

◆選挙が近くなると西島議員へは全国より招聘が相次ぐことから、本県ではなるべく早くから支援していこうとの考えで、本年三月十二日、米子市での医師連盟総会、七月四日、鳥取市での県医定例総会においてそれぞれ特別講演を行い、機運を盛り上げている。次回は中部・倉吉市に招聘したいと考えている。
◆米子市を中心とする西部は以前から地域的に自由奔放な風土があるようで、よく理解していただけるように西島議員には、前回の武見敬三氏選挙時と同様、地域を精力的に回っていただいている。講演会後には意見交換会を設け、膝を交えてとことん議論し、政策等を理解していただいている。
平成21年3月12日
講演を聞く先生方(米子市)
◆県の中央、倉吉市は民間病院が多く、支援活動が期待できる地域ではある。実際に院内での集会には多くの職員に集まっていただいているが、票として表れておらず非常に残念である。病院や診療所の医師・従業員の数からすると現状の二倍あるいは三倍の得票も期待できるはずだ。支援活動の手法を再検討、見直す必要がある。
◆県都・鳥取市をはじめ全県的に医師と患者との信頼関係は良好であり、選挙における支援活動においても「先生が推す候補者なら」と、熱心な会員の山間部町村では得票数が歴然として表れていたが、それも平成の市町村大合併により見えなくなった。
平成21年7月4日
西島英利議員を囲んで
◆これから支援名簿の獲得運動が展開されるが、このたびの衆議院総選挙のブロック比例区は「政党名を書く」方法である。一方、参議院選挙の全国比例区は「候補者の氏名または政党名を書く」方法であり、投票方法が異なっている。したがって今この時期に支援名簿の獲得運動を展開すると、選挙民が混乱することが予想されるので、本県では西島議員の支援名簿の獲得運動は総選挙後の九月から集中的に始めたいと考えている。

六.おわりに

 「医政なくして医療なし」、「政治は目的ではなく、目的達成のための手段である」との言葉をよく耳にする。まさにそのとおりである。日医の医療政策を理解する政党を支援し、その達成のために日医連は医政活動を展開するのである。
 社会保障や医療はなかなか理解しにくい複雑な分野である。だからこそ医療の専門団体である日医あるいは日医連が国会議員や国民をリードしていかなければならない。財政至上主義の人たちはとにかく医療費削減や混合診療解禁、そして「医療分野の市場を開放しろ」と声高に叫んでいる。我々が何もしないで黙っていると医療は彼らの思うとおりになってしまう。
 今こそ、医師一人ひとりが医政活動の重要性を認識し、発言そして行動しなければならない。我々は決して欲張り村の村長ではなく、国民の立場に立った医療の実現のため、ともに闘っていかなければならない。

以上

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