日医連ニュース
日本医師連盟ニュース
2009/4/25(Sat.) 第54号 1・2345/5 INDEX
医療・介護等の社会保障問題に対する着実な成果
日本医師連盟活動を検証
 新年度において、日本医師連盟は唐澤人委員長(写真)を中心とした現執行部で二期目半ばを迎えた。八年ぶりの診療報酬プラス改定に続き、社会保障費二千二百億円削減の実質的な歯止めやレセプトオンライン請求完全義務化反対に向けた活動等、多くの問題対処に当たり日本医師連盟は日夜奮闘を続け着実な成果を上げている。
医療・介護等の社会保障問題に対する着実な成果/日本医師連盟活動を検証(写真)
平成21年3月10日 日本医療懇談会

 小泉内閣の「聖域なき構造改革」から始まった診療報酬マイナス改定等さまざまな医療崩壊問題に対し、唐澤執行部は二期目半ば(三年間)までの短期間に、医療政策の行方に大きな影響力を持つ厚生労働省幹部および衆議院・参議院の国会議員等へ、いわゆるロビー活動として鋭意働きかけを行ってきた。
 診療報酬の引き上げ、社会保障費二千二百億円削減阻止、レセプトオンライン請求完全義務化反対等に向けた運動展開においては、総理大臣をはじめ、厚生労働大臣、財務大臣等の閣僚、衆・参厚生労働委員会、自民党役員、公明党役員、自民党社会保障制度調査会、自民党厚生労働部会等の国会議員への連日における陳情活動であった。日医の医療政策の理解を深めることにおいて極めて重要な活動展開となった。各種医療制度問題を論じ、医療問題全般にわたり認識をより深めていただく場である医療関連議員連盟(カトレア会、日本医療懇談会、医療政策研究会、社会保障制度研究会等)の会合を頻繁に開催することも地道な陳情活動と相まって功を奏した。
 また、平成十九年十二月五日に開催した「国民医療を守る決起大会」の医療崩壊危機を訴える等の国民集会の開催、最後には、都道府県医師連盟および郡市区医師連盟を通じた地元国会議員への医療政策の働きかけや署名活動による展開が、最も重要な役割を果たしてきたといえる。
 日医連は、来年七月に行われる第二十二回参議院議員選挙比例代表候補者に西島英利現参議院議員の推薦を決定しているが(四月十五日、自民党公認決定)、西島議員は、医療分野において常に日医連と連携して問題解決に当たっている。参議院厚生労働委員会委員、また国会対策副委員長として、連日における関係省庁幹部および国会議員らへの折衝や、国会での活発な医療政策提言を行っている(「西島英利参議院議員の主な活動」を参照)。
 医療政策の訴えは、上記に挙げたような有効とされる地道な活動の積み重ねにより関係者に理解を深め、今日の医療政策に反映されているのである。

診療報酬プラス改定へ

 過去三回において、診療報酬マイナス改定が継続されてきたが、現執行部らが一丸となって医療機関の疲弊する現状を説明し、平成二十年度の診療報酬引き上げを強く訴えてきた。結果、政府が決定した診療報酬改定は、医師の技術料である診療報酬(本体部分)を〇・三八%増(医科〇・四二%増)でプラス改定になったことは、極めて大きな成果であった。
 また、今年末に平成二十二年度の診療報酬改定が行われるに当たり、唐澤委員長は「次期診療報酬は大幅なプラス改定にすることが最終目的で、最も大事なこと。医療を建て直すことが大きな課題であり、そこに医政活動として大きな力を発揮しなければならない」と強力に訴え、今年末に向けた態勢を整えている。

社会保障費二千二百億円削減の実質的な阻止「重要課題推進枠」に七百七十五億円を充当

平成20年11月26日
参院本会議にて西島英利議員

 平成二十一年度予算案で社会保障費の自然増を二千二百億円抑制するという政府の方針は、年金特別会計に設けられている特別保健福祉事業資金や道路特定財源の一般財源化等により、実質的な社会保障費の抑制額は、後発医薬品の使用促進による二百三十億円にとどまる見通しとなった。このように、医療の危機的状況から再建に向け、政府や厚生労働関係国会議員等への働きかけにより、ようやく理解と協力が得られたかたちとなった。また、自民党執行部に対する日医連緊急要望により、「重要課題推進枠」のうち医師不足対策等の社会保障分野に七百七十五億円が充当されることになった。
 三月二十六日の参議院予算委員会において、与謝野馨財務大臣は「社会保障費削減継続は難しい」と政府方針を見直す考えを表明した。また、麻生太郎総理大臣は四月九日の記者会見において「(社会保障費抑制策について)そのままやるというのは極めて難しくなってきたというのは、はっきりしている」と話し、六月の「骨太方針」では継続しない可能性を示した。

レセプトオンライン請求完全義務化に対する「医療機関への配慮」の明確化

 平成二十三年度から原則義務化されるレセプトオンライン請求について、二年前に閣議決定した「規制改革推進のための三ヶ年計画」を再改定し、三月三十一日に閣議決定された。再改定では、「原則」の追加記載で実質的に新たな例外規定を設けることに道筋をつけた。また「その際、地域医療の崩壊を招くことのないよう、自らオンライン請求することが当面困難な医療機関等に対して配慮する」と追記。完全義務化に対応できない医療機関が廃業に追い込まれないよう配慮することとなった。
 オンライン請求義務化の方向転換への流れを導いたのは、連日の日医連の陳情活動はもちろんのこと、都道府県医師連盟から集めた「完全義務化反対の要請書」を関係国会議員に提出したこと、また、二月二十七日開催の社会保障制度調査会医療委員会において、各都道府県医師連盟を通じて地元国会議員への働きかけによって、百二十名以上もの出席議員から義務化反対意見が相次いだためであった。それはまさに、懸命な日医連のロビー活動の成果であり、各都道府県医師連盟および郡市区医師連盟の支援と協力があったからといえる。

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