日医連ニュース
日本医師連盟ニュース
2007/9/3(Mon.) 臨時増刊号 1・2・34/4 INDEX
安全・安心な医療提供体制構築に向け更なる努力を
日本医師連盟委員長 唐澤 祥
安全・安心な医療提供体制構築に向け更なる努力を/日本医師連盟委員長 唐澤 祥人

 第二十一回参議院選挙を振り返るにあたって、関係者の皆様の積極的なご支援にもかかわらず、武見敬三候補が惜しくも自民党比例区次点で当選を逃したことにつきましては、「残念無念」の一語に尽きると言わざるを得ません。
 さて、武見候補の後援会名簿獲得数八十五万六千余りに対して、得票数がその二割程度に止まった背景には、選挙間近になって、消えた年金問題、現職閣僚による不適切な発言や事務所費に関する経理処理問題などが相次ぎ表面化し、自民党政治に対する不信感が強まったことが考えられます。
 自民党に未曾有の逆風が吹くなかで、武見候補は日本の社会保障、とりわけ医療の将来を守るという一念で、必死になって選挙戦を戦ってまいりました。われわれ日本医師連盟として全力で支援活動を展開して参りましたが、六年前の得票数二十二万七千四十二票を下回り、今回十八万六千六百十六票という、前回より約四万票少ない結果となってしまいました。
 武見候補の真摯な訴えに対して、前回よりも得票数を大幅に伸ばした地域もありますが、今回の選挙において、日本医師連盟が必ずしも統一歩調で戦えなかったことも、大きな反省材料であると認識しております。
 さらに、今回の選挙の争点が、前述の消えた年金問題、現職閣僚による不適切な発言や事務所費に関する経理処理問題などに端を発した、安倍政権に対する信任・不信任という面ばかりに焦点が当てられ、政党間の政策論争にまで発展しなかったことも一因であろうかと思います。また、小泉政権下での社会保障費の圧縮、とくに三度にわたる診療報酬のマイナス改定により、医療現場の疲弊は極に達しており、会員のなかでもそれが改革路線を引き継ぐ安倍政権に対する批判となり、武見候補への逆風につながったのだと考えます。
 このような選挙戦のなかでは、武見候補が十二年間にわたり国政の場で果たしてきた役割と実績、すなわち、いち早く社会保険庁問題にメスを入れ改革を求めてきたこと、また「混合診療の全面解禁」や「医療費の総枠管理」導入論に対して、党内の反対勢力と言われながらも政府に敢然と立ち向かい、これを阻止したことなどが、的確に伝わらなかったのではないかとも思います。
 いずれにせよ、われわれ日本医師連盟は、今回の選挙結果を謙虚に受けとめ、反省すべきところは反省し、選挙活動のあり方等を速やかに検証し、今後の活動展開に活かしていかなければならないと認識しております。新たな危機感をもって、これまで以上に医政活動を精力的に展開する契機と捉え、国民にとって安全で安心な医療制度が提供できるように、全力で努力していく所存であります。

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