日医連ニュース
日本医師連盟ニュース
2006/9/15(Fri.) 臨時増刊号 1・2/2 INDEX
「日本医師連盟執行委員会開催」
武見敬三氏を次期参院選日医連推薦候補者に選出
 八月二十二日、日本医師連盟は「執行委員会」を開催し、平成十八年度交付金と第二十一回参議院議員通常選挙(参院選)の比例代表候補者の選出について協議を行った。長時間に及ぶ協議の結果、次期参院選推薦候補者には現職の武見敬三参議院議員を選出した。
武見敬三氏を次期参院選日医連推薦候補者に選出(写真)

 羽生田俊常任執行委員の司会で開催。冒頭、唐澤ヨシ人委員長は次のように挨拶した。
 「九月の任期満了とともに小泉総理大臣は退任し、新たな総理大臣が誕生する。政権交代の流れのなかで、日本医師連盟としてもいかに対処すべきかを真剣に考える重要な時期を迎えた。周知のとおり、医療を巡る環境は厳しく、財政上の観点による医療政策が長く続いており、日本医師連盟では国政を担当する自民党に対しさまざまな要望を行っている。本日は新しい日本医師連盟、さらにはこれからの医療を切り開いていくには、どのような理念をもち、どのような政策を構築して進んでいくのかといったことを決める端緒ともいうべき日だ。本日ご参集いただいた先生の後には十六万を超える会員、そして医療を必要とする大勢の国民がいる。そうした方々の顔を思い浮かべ、将来の健康と生命を預かるわれわれがどのような方向に向かうべきなのかを念頭に置いて、本日の重要案件について真摯、かつ真剣にご審議いただきたい」。
 来賓の武見敬三参議院議員の挨拶終了後(西島英利参議院議員は公務出張中のため書面にて挨拶)、唐澤委員長が議長となり議案審議に移った。

今年度交付金 昨年度と同水準に

 宝住与一副委員長から「平成十八年度交付金は、昨年度と同水準の十八年度負担金の四〇%としたい」との説明があり、協議の結果、満場の拍手をもって承認された。

二名が応募 次期参院選推薦候補者

 来年に迫った第二十一回参議院議員通常選挙比例代表候補者については、全国から幅広く公募制としたところ、二十二都道府県医師連盟が推薦する現職参議院議員の武見敬三氏と、山梨県医師連盟の推薦を受けた前衆議院議員自見庄三郎氏の二名の応募があった。唐澤委員長は「日本医師連盟の最高意思決定機関である執行委員会において候補者を決定しなければならない。そのために、(1)政権政党である自民党に対する支持をどうするのか、(2)比例代表候補者の推薦枠を一名とするのか二名とするのか、(3)候補者の選出方法をいかにするのか、の三点について審議し、合意を得たい」と述べ、意見を求めた。

次期参院選 推薦を巡り激論

 それに対し、出席者から次のような意見が述べられた。
 「県医連で今回初めてアンケートをとったが、武見候補に関しては、日本医師連盟で推薦されれば支持するとの回答が五五%を占めた(茨城県)」。
 「政党は政権政党を支持すべきだと思うが、もし選挙に二人が立候補した場合、前々回の二十二万票、前回の二十五万票という得票数から考えて、共倒れになる可能性が高い。推薦候補者は一人に絞るべきだ(北海道)」。
 「二十二都道府県医師連盟が武見候補を推薦したのは、武見候補の医政および国会議員としての見識を高く評価したうえでのことと拝察しており、そのことに異議を唱えるものではない。しかし、職域代表議員が推薦母体である日医会長選挙において、一方の候補者のために介入して活動を行ったのは周知のことと思う。次期参院選では、われわれは唐澤委員長を支え一丸となって選挙活動に取り組めるよう真に願っているが、そのような介入を行った政治家を推薦候補者とするのはもってのほかと考える(大阪)」。
 「武見候補のどのような行動が介入に当たるのか定かではないが、そのことが日医代議員の投票行動を左右したとは思えない(福岡)」。
 意見が錯綜するなか、唐澤委員長は次のように語った。
 「小泉政権発足後、経済財政諮問会議等を発足させ、それを内閣府が囲い込む形で政策を打ち出した。それに対し懸命に取り組んでいた前執行部の姿を鮮明に覚えているが、内閣府や経済財政諮問会議の厳しい方針によって、厚生労働省や財務省、政府与党でさえ修正はおろか意見を述べることもできなかった。八方塞がりのなか、当時の執行部は国民の署名を集める国民運動を展開した。千七百万の署名に加えて、政府与党三百名を超える国会議員の署名を衆参両院議長に提出した結果、混合診療や株式会社の参入等が抑えられた。この戦略は見事だったが、その後の郵政民営化にうまく対応できなかったと思う。
 役員選挙に武見候補が介入したといわれているが、その心情はいかばかりだったか。やはり、医療の危機的状況がみえていたのだと思う。医療の危機的状況は今も続いており、何とか打開しないと一段と厳しい状況にさらされるのは確実だ。最近、経済財政諮問会議の力が弱まり、政府与党の力が強まっているが、政府与党に働きかける絶好の機会である。この時機を逸し、政権政党から遠ざかったと評価をされれば、さらなる難題を押しつけられるだろう。
 医師連盟の役員は会員を引っ張っていく責務があるが、会員はわれわれを理解してくれているのだろうか。今こそ会員の気持ちを引きつけ、さらには国民の理解を得なくてはならない。国民の理解を得るとは、すなわち選挙の票を集めるということでもある。政権政党から遠ざかり、武見議員を失うと、西島議員も力を発揮できない。医政の場に日医連推薦国会議員がいなければ、日本医師連盟の機能は果たせない。経験豊かな国会議員を失うようなことになれば、両手をもがれたも同然であり、医政活動の効力は半減する。総意をもって次期参院選に臨めるよう期待している」

心をひとつに 今こそ大同団結の時

 再び質疑応答に入り、次のような意見が寄せられた。
 「旧執行部のロビー活動について多くの意見が述べられたが、逐一ロビー活動報告をしていたら相手にも迷惑をかけてしまう。おそらく、経済財政至上主義の小泉政権下では誰がやっても、今のような医療状況になったと思うが、これからは前を向いてやっていこうということには賛成だ(埼玉県)」。
 「前々回、前回の選挙であの程度の票数しか出せない現実を直視すべき。四十七都道府県の十六万会員が心をひとつにして武見候補を推していきたい(石川)」。
 「われわれは前を向いて進むしかない。恩讐を乗り越えて強い医師連盟にしなくてはならないという命題があり、会員もみなそう願っているのではないか。自見候補については、執行部が政権政党の自民党支援を打ち出しており、自民党の公認を得られていないのに推すことは社会的に見ても無理がある。自民党の公認が得られた時点で、改めて協議してはどうか。苦渋の選択を迫られる方もあろうかとは思うが、今日結論を出して、みんなで推していきたいと考える(広島)」。
 「もし、選挙に二人が立ったなら絶対に負ける。薬剤師会も看護協会も県下を回っている。とにかく時間がない。われわれも早く推薦をもらって行動しなければならない。過去を振り返らずに、前を向いてやらなければ明日の医師連盟はないし、明日の日本もない。早く決断して、心をひとつに活動する必要がある。それから、いったん決まったからには、絶対に離脱しないでほしい。そうじゃないと、みんながそれぞれ勝手なことをやりだす。日本医師連盟の団結を示す意味でも、次期参院選は心をひとつに取り組んでいただきたい(長野)」。
 「われわれが問題にしているのは執行部の業績や春の会長選挙結果ではなく、国会議員が日医の会長選に介入したことだ。その是非を問題視している(奈良)」。
 「武見候補以外に自民党や政権のなかで、医療に携わって働ける人が誰かいるのだろうか。選挙まで、もうあまり時間は残されていない。ぜひ武見候補を推薦していただきたい(鹿児島)」。
 「武見候補は医師ではないとの声もあるようだが、医師であるかどうかは関係ない。武見候補の行動や意見はわれわれと同じであり、われわれの意見を的確に国会で反映している。ここで堂々巡りをして、次回の議題に載せるというわけにもいかないので、この場で決着をつけていいのではないか(北海道)」。

支持政党は自民党 推薦候補者は武見敬三氏

 予定時間を大幅に延長し意見も出尽くしたところで、唐澤委員長は「全出席者がすべての意見を共有し、判断の材料も充分に出揃ったと思う」と語り、先に挙げた三点について何らかの方法で決めていかなくてはならないと指摘。まず次期参院選推薦候補者を、本日この場で決めるか否かを確定すべく挙手による採決を行った。その結果、圧倒的多数をもって採決することに決定した。
 次に、採決方法について意見を求めたところ、「投票の形をとると、日本医師連盟の分裂という危機が生じる。われわれが一致団結してやっていけるかの瀬戸際である。委員長には、反対されている方々の気持ちを残したうえでの決定をお願いしたい(千葉)」と意見が寄せられ、挙手による採決を行うことに決定した。
 まず、次期参院選で自民党を支持することについては、圧倒的多数が賛同し可決。二名の候補者の扱いについては、「一名に絞る」が大多数を占めた。続いて、武見候補と自見候補について、どちらを推薦候補者とするか挙手を求めたところ、武見候補の支持が圧倒的多数を占め、武見敬三氏を推薦候補者に選出した。

武見敬三氏を次期参院選日医連推薦候補者に選出(写真)

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