日医連ニュース
日本医師連盟ニュース
2005/6/25(Sat.) 第33号 1・2345/5 INDEX
日本医師連盟の政策実現に全力を
―5カ月間の熱気に満ちた国会議員との懇談会終了―
 さる2月9日(水)より、「日本医師連盟霞が関研修室」において開催してきた各都道府県小選挙区担当責任者等と地元選出自由民主党国会議員との懇談会は、6月16日(木)、47都道府県・300小選挙区すべてについて終了した。約5カ月間、毎週水曜と木曜の開催であったが、本懇談会には、武見敬三・西島英利両参議院議員にも出来る限り出席をお願いし、国会情勢等の報告をいただいた。また、本懇談会出席の自由民主党国会議員は、衆・参両議院で272名(本人出席分)を数え、参議院比例代表等を除いた実質ベースで、自由民主党所属国会議員の実に90%近い参加であり、また各都道府県医師連盟役員の出席数は900余名の多くを数えた。
日本医師連盟の政策実現に全力を

 一連の懇談会は、宮崎秀樹副委員長の司会で開会され、前半が、日本医師連盟と各都道府県医師連盟役員との打ち合わせ会、後半が国会議員との懇談会となっている。打ち合わせ会では、出席した日本医師連盟役員の挨拶および現況報告があり、次いで質疑応答を行った。
 〔植松治雄委員長挨拶〕
 「本日は多事多忙の中、大勢参集いただき感謝する。周知のとおり、医療を取り巻く環境は非常に厳しい。先の混合診療の問題では全面解禁を阻止したが、特定療養費制度や国内未承認薬の問題、さらには中医協のあり方等、問題は山積みしている。焦眉の課題は中医協問題だが、現在は医療のことをよくご存知ない方が議論をしており、その人たちが方向性を決しようとしているが、やはり最後に決定権を有しているのは政治の場である。一部の議員の理解を得るというよりは、数多くの議員の理解を得ることが必要である。
 また先般、日医として『医療保険制度改革における日本医師会の考え方』を公表したが、その基本となるのは、(1)国民皆保険制度を堅持する、(2)新たに高齢者医療保険制度を創設する、(3)GDP等の経済指標を基本とする医療費の伸び率管理は容認できない、等である。これを公表したのは、経済財政諮問会議の『骨太の方針』の中で、社会保障費の総額抑制等が盛り込まれようとしており、日医として、医療保険制度改革につきどのような考え方をもっているのかを、国民にいち早く示す必要があると考えたからである。さらに診療報酬もプラス改定はないとの空気があるが、甘んじるわけにはいかない。この懇談会は、医療の安全が強く求められている時に、医療費の総額抑制や診療報酬の引き下げがあっては断じてならないということを、数多くの国会議員に直接伝え、認識していただく場でもある。国会議員にとっては地元の票が重要であり、われわれの意向を汲んでもらえればそれに見合うことはするということを言外に含んで、忌憚のない意見を伝えてほしい。国会議員もこうした形式の懇談会開催を喜んでいるので、地元国会議員への影響力を有している先生方には精一杯頑張っていただき、一人でも多くの日医に対する理解ある議員を増やし、医療政策の推進を図ってもらいたい」。
 〔宮崎副委員長開催趣旨報告〕
 「日本の各種団体の中で、三百選挙区ごとに、このような懇談会を開催しているところはないと思われる。また、霞が関研修室の利用は、経費面でも、ホテルを利用するよりも低く抑えられており、また、今後は記者会見や若手国会議員の研修等に活用したい」。

日本医師連盟の政策実現に全力を

政府の狙いは社会保障費の総枠管理―骨太の方針を注視―

 次いで、武見敬三参議院議員と西島英利参議院議員が挨拶を行った。
日本医師連盟の政策実現に全力を 〔武見議員挨拶〕
 「六月中・下旬に骨太の方針が公表されるが、今回の方針は社会保障に関わる抑制枠組みをいかに中・長期的かつ構造的に組み込むかにある。竹中平蔵内閣府特命担当大臣らは総枠管理で潜在的国民負担率をGDPの五〇%以内に抑えたいと考えている。厚生労働省は反対したが、その厚生労働省も、根底には個別に枠組みを設定して抑制することで、全体を抑制しようとの意図がある。
 今後、骨太の方針を契機に、高齢者医療保険制度創設や十一月の税制調査会等を通じた次年度税制のあり方等が議論されることになるが、たばこ税の増税を実現し、それをてこにして、診療報酬財源の話に結びつけていきたい」。

日医連会員の常識を国会議員の常識に

日本医師連盟の政策実現に全力を 〔西島議員挨拶〕
 「介護保険に関しては、部会で繰り返し発言し、ようやくこの法律はおかしいとの理解が得られた。予算関連法案のため上程せざるをえなかったが、最後は政省令で決めることを条件に了承した。今後とも日医と連携して問題点を洗い出し、それを政省令に活かしていきたい。
 来年は診療報酬の改定等が行われるが、財務省・日本経済団体連合会・健康保険組合連合会等はまたもや総枠管理を打ち出している。先日の衆・参両議院の合同会議で、自由民主党の基本的方針に総枠管理を否定する文言をぜひ入れるべく要請し、機械的な抑制はしないとの言葉を入れることとなった。
 本日は、日本医師連盟の常識は国会議員の常識ではないということを認識のうえ、国会議員の理解が得られるよう、よく話をしていただきたい」。

極めて安い費用で、世界一の成果を達成―現状報告―

 〔現状報告〕
 日本医師連盟執行委員による「国民医療費に関する」現状報告が行われ、同報告の中で、「日本の医療制度は、国際的にみても極めて安い費用で世界一の成果を上げているのが実情。また、国民医療費の伸びは、医療の進歩・高齢者の増加等多くの要因があるが、極めて単純に国民の寿命の伸びと一致している。さらに、国民負担率(租税負担率+社会保障負担率)は、ここ十八年間三七%前後で推移しており、諸外国に比し、極めて低い水準である。
 医療の質を確保し、安全な医療を確保するためには、医療費財源が必要であり、医療費抑制策は、医療の質を低下させ、安全な医療の提供を阻害する危険性がある。医療を経済に合わせるのではなく、医療に経済が合わせるべき」との主張を展開した。
 さらに、各都道府県医師連盟からの質問・意見が展開され(別記事参照)、その後引き続き、国会議員との懇談会が開催された。
 概ね上記のような挨拶・意見等が毎回開陳され、連日熱の入った討議が繰り返されたが、都道府県単位に、当該小選挙区選出自由民主党国会議員との懇談会を開催するのは初めてのところが多く、かつ国会議員とひざ突き合わせて医政問題を議論するのも、極めて貴重な体験であったと思われる。また、本懇談会には、衆・参両議院で、実に二百七十二名の自由民主党国会議員にご出席をいただくとともに(三面の「出席議員一覧」参照)、各都道府県医師連盟からの出席者数は九百余名を数え、活発な討議が展開された。

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